トップアスリートから高齢者まで、幅広いタイプの人が自分に合うやり方で体を鍛えられる「ファンクショナルトレーニング」。
注目度の高いトレーニングですが、どんなものかよく分からないという人も多いのではないでしょうか?
そこで今回は、ファンクショナルトレーニングについて詳しくご紹介します!
- ファンクショナルトレーニングのやり方を知りたい
- メリットや効果が気になる
- おすすめのメニューをやってみたい
- ファンクショナルトレーニングを習ってみたい
このような方向けにわかりやすく解説をしています。
ぜひご覧ください!
パーソナルトレーニングジムマニアとしてフィトレ編集部のコンテンツ制作に携わる。体型維持とダイエットのため普段からランニング・有酸素運動・HIIT・筋トレを行う。1ユーザー目線を大切にした情報発信を心掛けてフィトレを運営。
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ファンクショナルトレーニングって何?どういう意味?
体の機能性を高め、日常の動作を楽にするためのトレーニング!
ファンクショナルトレーニングの「ファンクショナル(functional)」とは、「機能的な・実用的な」という意味を持つ言葉です。
ファンクショナルトレーニングはリハビリにも取り入れられる運動方法で、動きに支障がある部位の機能性を取り戻す効果を持っています。一般的な筋トレのように筋肉を成長させることが目的ではなく、体の可動域を広げ、日常の動作を楽にするために行うトレーニングです。
おすすめなのはこんな人!
- 運動が苦手な人
- 肩こりや腰痛などが辛い人
- ダイエットしたい人
- 姿勢を良くしたい人
- スポーツのパフォーマンスを上げたい人
ファンクショナルトレーニングの5大原則
ファンクショナルトレーニングには、トレーニングメニューを構成する上での基礎となる「5大原則」があります。詳しく見ていきましょう。
1. 重力(gravity)を利用する
スポーツをする時も日常生活においても、私たちは常に重力に抵抗する形で体を動かしています。体の機能性を高めるためには、この重力に負けない安定感を得ることが重要です。そこで、ファンクショナルトレーニングは自重トレーニングを重視します。
自重トレーニングとは?
自分の体重を負荷にして行うトレーニング。初心者でも続けやすく、体幹を鍛えるなどの効果がある。
2. 分離(dissociate)と協同(integrate)
筋肉や関節にはそれぞれ役割があり、体を楽に動かすには一つ一つがきちんと機能している必要があります。トレーニングではその個々の動きの役割を一度分解して捉え、特定の筋肉や関節を個別に鍛えます。
例えば、歩いたり走ったりする時は、足の筋肉を動かす一方で、体幹は動かずに安定しているとスムーズです。この機能を強化するには、足の筋力を向上させるトレーニングと、体幹をブレずに維持するトレーニングを行い、両方の機能を協同させることが効果的です。
3. 運動連鎖(kinetic chain)
体の動きはいくつもの筋肉や関節が連動して行われています。また、神経や心肺機能などの働きも深く関わります。
ファンクショナルトレーニングでは、このような複数の要素の連鎖を重視します。一つの動きに必要な筋肉・関節・神経・心肺機能などの働きがすべて整うよう、全身運動のトレーニングも行います。
4. 3面運動(3 dimension movement pattern)
ほとんどの動作は「前後・左右・水平」の3面で行われています。例えば、歩いたり走ったりする時、体は以下のような3面の動きを行っています。
歩く・走る時の3面の動き
【 前後 】手足が前後に動く
【 左右 】足を交互に着地するので、全身が左右に動く
【 水平 】手を前後に振る動きに合わせて、胴体が交互にねじれる
ファンクショナルトレーニングを行う時も、この3面の動きを意識します。体の自然な動きに沿ってトレーニングするため、機能性を高めることができるのです。
力の吸収(loading)と力の発揮(unloading)
大きな動きを行う時、私たちの体はまず反対の方向へ力を吸収し、それから目的の方向へ力を発揮します。例えば、以下のような動きが良い例です。
力の吸収と発揮による動き
ジャンプする
ひざを曲げて下へ力を吸収し、反動を利用して上に向かって飛ぶ。
ボールを投げる
ボールを持った腕を後方へ引き、勢いをつけて前方へ投げる。
ゴルフボールを打つ
ボールを打つ方向と逆の方向へゴルフクラブを振り、反動でボールを打つ。
体が強い力を発揮できるようにするには、力の吸収と発揮の仕組みを理解することが大切です。そして、動きに見合うファンクショントレーニングを行い、機能性を高めていきます。
ファンクショナルトレーニングの種類・やり方
ファンクショナルトレーニングに取り入れられるのは、主に上記のようなトレーニングです。
どのようなメニューで構成されるかは、ジムのプログラムなどによって異なります。ここでは、それぞれのトレーニングのやり方や特徴を簡単にご紹介しましょう。
自重トレーニング
自重トレーニングは自分の体重を負荷として利用するトレーニングです。器具などを使わずにできるのが大きな特徴で、代表的なものにスクワットや腕立て伏せなどがあります。
自重トレーニングは負荷の調節がしやすいので、初心者でも無理なく続けられるのがメリットです。また、メニューの種類が豊富なので、全身をバランスよく鍛えることができます。
TRXサスペンショントレーニング
TRXサスペンショントレーニングは、サスペンショントレーナー(持ち手のついたゴム)を引っ張りながら行うトレーニングです。ゴムが元に戻ろうとする力に抵抗することで、目的の筋肉をじっくり鍛えます。
サスペンショントレーナーは、引っ張る力や体を傾ける角度などによって自由に負荷を調節できます。高齢者のリハビリに用いられることもあり、日常の動作が困難な人でも安全なトレーニングが可能です。
フリーウェイトトレーニング
フリーウェイトトレーニングとは、ダンベル・バーベル・ケトルベル・メディシンボールなど、手で持って自由に動かせるウェイトを使ったトレーニングです。
フリーウェイトトレーニングは、自重トレーニングだけでは物足りなくなってきた時におすすめのトレーニングです。体重以上の負荷をかけられるため、筋力や機能性の向上につながります。
マシントレーニング
ファンクショナルトレーニングには専用のマシンもあります。マシンの仕組みや使い方は機種によって異なりますが、負荷がかかったケーブルを手や足などで引っ張りながらトレーニングするのが一般的です。
マシントレーニングのメリットは、省スペースで様々な種類のメニューをこなせることです。また、幅広い強度に設定できる物なら、初心者も上級者も同じように使用できます。
ファンクショントレーニングのメリットや効果!
ファンクショナルトレーニングは体の機能性を高めるためのトレーニングなので、体に良いメリットや効果がいろいろあります。一つ一つ見ていきましょう!
日常の動作が楽になる
ファンクショナルトレーニングは、体の本来の動きに沿って行うのが基本です。そのため、トレーニングを続けていると体の可動域が広がり、日常の動作が楽になります。
体を楽に動かせるようになれば、仕事や家事などをこなしても疲れにくくなり、パフォーマンスが上がります。休日は疲れて寝てしまうという人にこそ、ファンクショナルトレーニングがおすすめです。
代謝が上がって痩せやすくなる
ファンクショナルトレーニングは全身運動でたくさんの筋肉を使うので、基礎代謝もアップします。
基礎代謝とは?
安静時に消費されるエネルギー量のこと。筋肉量が多いほど、エネルギーの消費量が増える。
ファンクショナルトレーニングは筋トレのような筋肥大効果はありませんが、全身をバランスよく動かすので筋力がつきます。すると、代謝が良くなって脂肪を燃焼しやすくなり、自然と痩せやすい体に変化するのです。
姿勢が良くなる
ファンクショナルトレーニングは体幹のトレーニングも重視するため、インナーマッスルが強化されます。
体幹とは?インナーマッスルとは?
体幹
胴体部分のこと。体の中心となる重要なパーツで、鍛えると体がブレにくくなって全身が安定する。
インナーマッスル
体の深部にある筋肉のこと。内臓や関節などを支えており、鍛えると姿勢が良くなる。
体幹のインナーマッスルには、内臓・背骨・骨盤などを支える重要な筋肉が集まっています。ファンクショナルトレーニングでこれらの筋肉を鍛えると、背骨や骨盤を真っ直ぐ支えられるようになり、猫背が改善されます。
肩こりや腰痛などが改善される
ファンクショナルトレーニングによって体幹が鍛えられると、背骨や骨盤を正しい位置で維持できるようになり、肩こりや腰痛が改善されます。
また、全身運動による血行の促進も、こりや痛みの緩和に役立ちます。肩こりや腰痛は血行不良が原因のことも多いため、血流が良くなれば辛い症状も治まってくるのです。
ケガの予防になる
体の可動域が広がり、こりや痛みが解消されると、日常生活やスポーツなどにおいて体を楽に動かせるようになります。その結果、筋肉や関節への負担が減り、ケガの予防に役立ちます。
実際、ファンクショナルトレーニングはスポーツ選手のウォーミングアップにも利用されています。動きに必要な筋肉の機能性を高めておくことで、ケガの予防やパフォーマンスの向上を図るのです。
ファンクショナルトレーニングのおすすめメニュー
ファンクショナルトレーニングは、ストレッチ・可動域の拡大・筋力の向上など、いろいろな効果を持つトレーニングを組み合わせることが大切です。ここでは、初心者におすすめのメニューをいくつかご紹介しましょう。
胸椎回旋
vanguard JFTAさんの動画!
- 仰向けになって両手を真横に広げ、両足を揃えてひざを曲げる。
- 肩が床から離れないようにしながら、両ひざを交互に左右に倒す。
胸椎は背骨の一部で、首と腰の中間にあたる場所にあります。胸椎の動きが悪くなると、肩こりや腰痛の原因になったり、腕が上げにくくなるなどの不調が起こります。
胸椎回旋は硬くなった胸椎をほぐし、コリや痛みの緩和、可動域の拡大などを図るトレーニングです。回旋のやり方にはいろいろな方法がありますが、仰向けでできるこちらのトレーニングは、初心者に特におすすめです。
アニマルウォーク
- 床に両手をつき、ひざをつかない状態で四つん這いになる。
- 重心が両手にかかるようにしながら、四つん這いのまま前方へ歩く。
- 壁際まで進んだら、同じ体勢で後ろに下がる。
アニマルウォークは四つ足の動物のように歩くトレーニングです。腕・足・体幹など、全身の筋肉を使います。ポイントは重心が前方にかかるようにすること。お尻を軽く突き出すようにしながら進みましょう。
アレンジもおすすめ!
アニマルウォークはいろいろなアレンジも可能です。横歩きする・ひざを真っ直ぐ伸ばして歩く・片足を上げてケンケンしながら進むなど、いろいろ試してみましょう。
プランク
vanguard JFTAさんの動画!
- 両ひじを曲げて床につけ、軽くこぶしを握る。
- 両足を真っ直ぐ伸ばし、つま先で体重を支える。
- 頭からかかとまで一直線になるように意識しながら、姿勢をキープする。
ファンクショナルトレーニングは体幹を鍛えるトレーニングも重視します。その代表的なメニューの一つがプランクです。
プランクのポイントは、腰が反らないように気をつけること。腹筋を意識しながら、体が一直線になるイメージで真っ直ぐな状態をキープしましょう。
辛い場合はひざをついてもOK!
通常のプランクで体勢を維持するのが難しい場合は、ひざをついてやってみましょう。負荷が軽減されるので、筋力が弱い人でもやりやすくなります。
オーバーヘッドランジ
- 肩幅よりも長いタオルや棒などを両手で持ち、真っ直ぐ頭上に持ち上げる。
- 片足を前に大きく踏み出し、ひざが90度になるくらい腰を落とす。
- もう片方の足のひざが床すれすれくらいになったら、元の体勢に戻る。
- 片足ずつ交互に行う。
ランジは片足を大きく踏み出すトレーニングで、下半身や体幹を鍛えます。オーバーヘッドランジは通常のランジに上半身のトレーニングを加えたメニューで、腕・背中・お腹なども同時に鍛えます。
慣れてきたら負荷を上げよう!
動きに慣れてきたら、メディシンボールやバーベルなどを持ちながらやるのもおすすめです。トレーニングの負荷が上がるため、筋力がさらにアップします。
ファンクショナルトレーニングの注意点
・正しいフォームで行う
・無理に負荷を上げない
ファンクショナルトレーニングによって体の機能性を高めるには、正しく適度に行うことが大切です。具体的な注意点について説明しましょう。
正しいフォームで行う
ファンクショナルトレーニングは体の自然な動きをベースにしているので、複数の筋肉や関節を連動させたり、体の向きや角度などが緻密に計算されたりしています。そのため、正しいフォームで行うことが非常に重要です。
フォームが間違っていると、トレーニング効果を引き出せないだけでなく、かえって筋肉や関節を痛めてしまう恐れがあります。特にリハビリ目的で行う場合は、医師や理学療法士などの指導を受けながら行うと安心です。
無理に負荷を上げない
ファンクショナルトレーニングのメニューは非常に種類が多く、中にはかなり高い負荷をかけて行うものもあります。初心者の場合、初めからこのようなメニューを無理に行う必要はありません。
また、セット数やトレーニング時間なども、無理に増やすのはおすすめできません。疲労が溜まるとフォームが乱れ、ケガをする危険が高まります。トレーニング効果も落ちてしまうので、体力に見合うペースでこつこつ続けるのが一番です。
有資格者のトレーナーがいるジムがおすすめ!
ファンクショナルトレーニングには資格がある!
ファンクショナルトレーニングには、トレーニングの普及やトレーナーの育成などを行う協会がいくつかあります。そして、それらの協会では理論や実技を学んだ受講者に資格を発行しています。
ファンクショナルトレーニングを始めるなら、そのような資格を持つトレーナーに教わるのが一番おすすめです。ファンクショナルトレーニングに特化したジムはどんどん増えているので、ぜひ探してみましょう。
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まとめ
ファンクショナルトレーニングは、体を動かしにくい人や運動が苦手な人におすすめのトレーニングです。個人の体力や筋力に合ったレベルから始められるので、気軽にチャレンジしてみてくださいね!